基礎知識 /
お役立ち情報
皆様のお役に立ちそうな法律に関する基礎知識・お役立ち情報をまとめました。
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過失割合について
交通事故の過失割合とは、交通事故において、事故を起こした当事者各自の過失の割合を数値化したものをいいます。例えば、交通事故で自動車(加害者)の過失が70%、歩行者(被害者)の過失が30%の場合、過失割合7対3などといいます。この場合、加害者は、被害者に生じた損害の70%の賠償を行えば足りるとされます。
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過失相殺について
過失相殺とは、損害賠償額の算定にあたり、被害者側にも何らかの過失がある場合には、その損害賠償額を減少させる制度であり(民法772条2項)、当事者間における損害の公平な分担を図ることを目的としています。どのような場合に過失相殺をするかについては、交通事故を類型化した上で過失相殺率等が基準化されています。
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被害者側の過失
民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」と規定しているにすぎません。そこで、例えば、幼児とともに歩行していた母親が赤信号を無視して交通事故にあった場合、この母親の過失を同項の「被害者の過失」に含めることができるかが問題となります。この点につき、最高裁は、「民法722条2項に定める被害者の過失とは単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含するが、被害者本人が幼児である場合における被害者の過失とは、父母ないしその使用人である家事使用人のように被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失という」と判示しました(最高裁判所昭和42年6月27日判決(最高裁判所民事判例集21巻6号1507頁))。そこで、上記の例における母親の過失は、過失相殺において考慮されることになるのです。これを「被害者側の過失」といいます。
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損益相殺
損益相殺とは、交通事故の被害者がその交通事故に起因して何らかの利益を得た場合に、その利益を損害から控除して損害賠償額を定めることを言います。被害者が交通事故によって死亡した場合、被害者については、生活費がかからないという利益を生じますので、被害者の生活費は、損益相殺の対象となる(損害額から控除される)と考えられます。その他に損益相殺の対象となるものには、自賠責保険(用語解説参照)の損害賠償金、交通事故の被害者の遺族に支払われる遺族厚生年金などがあります。
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遅延損害金
不法行為による損害賠償責務は、損害の発生と同時に、何らの催告を待たずに遅延に陥ります(最高裁判所昭和37年9月4日(最高裁判所民事判例集16巻9号1834頁))。したがって、交通事故の治療費、葬儀代、逸失利益などの損害賠償金については、年5%の遅延損害金が事故時から発生することになります。
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被害者請求
自賠責保険は、加害者(被保険者)が請求するのが原則ですが、被害者が直接保険会社に対して、損害賠償額の請求することもできます。加害者が不誠実であって、損害賠償額について合意ができない場合や加害者に支払能力がなくて損害賠償金の支払が受けられない場合などに利用されます。
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後遺障害の等級認定の仕組みについて
後遺障害の等級認定は、損害保険会社を通じて損害保険料率算出機構又はその下部組織である調査事務所が行うのが原則です。ただし自動車損害賠償保障法16条に基づく請求の場合には、被害者が直接等級認定を求めることができます。後遺障害の等級認定に不満があるときは、損害保険料率算出機構に対する異議申立てのほか、損害保険・共済紛争処理機構への調停申立てができます。
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弁護士費用特約について
自動車保険に組み込める特約の一つで、契約者(被保険者)、その家族又は同乗者などが交通事故に遭った場合に、契約者が相手方に対して損害賠償請求を行う際に必要となる弁護士費用を保険会社が負担するものです。保険金の限度額は、1事故につき、1名当たり300万円となります。